コンセプト

1本のギターをつくり上げる上で、多種多様な種類の樹木を使います。色・木目・重さ・質感などそれぞれの木材には特徴があります。
ギターをつくるために必要不可欠なそんな美しい木材達のことをいつも深く考えながら、寄り添いながらギターが作れたら、そんな想いがブランド名「木の葉」の「Leaf」に込められています。
バイオリン製作などで培ってきた豊富な技術と経験を活かし弾き込むほどに、歳を重ねるごとに音色が深まっていくギターになるよう、サウンド・演奏性・耐久性・デザイン、一つ一つに妥協のないギター製作を目指しております。

楽器造りの追求

楽器製作にあたって拘っていることのいくつかをご説明します。
細かくこだわるポイントは数あれど、全ての工程はギターが完成した姿を逆算しての加工です。
思い描いたあの音色を出すには、どのような構造にしてどんな材料でなければいけないのか、ひたすらに考え抜くことです。
答えはいつもシンプルに、丁寧に見つめること。

木材は弦楽器の源です。どれだけ良い作り方をしても、基になる木材が粗末なら良い音色の楽器になるのは難しいでしょう。
全てを手で触れ、叩いて音色を確かめながら、納得したものだけを購入して在庫にしています。
倉庫に保管してから、さらに何年も乾燥させます。
寝かせることで音響特性が向上し、気候に対応できるよう安定してきます。

ニカワという天然接着材を使用しています。
バイオリンでは必ず使われる接着剤ですが、ギターではあまり使われていません。
正しい方法で使用すれば強い接着力が生まれ、接着剤の層をとても薄くできるので音響的にも優位です。
防腐剤など余分なものが含まれていない古来の製法で作られた特別な三千本膠を愛用しているのも拘りです。

木材には種類によって密度が違うのは当然ですが、同じ種類の木材でも同じ木はありません。
生える場所、木の中心か端か、根に近いところか枝に近いところか、木取りの仕方や杢の入り方などで硬さは千差万別です。タップトーンも同じです。
1枚1枚を吟味しながら、出したい音色のイメージに合わせた木材を選択し、適正な強度を目指して削ります。その精度は0.1mm未満です。

バイオリンの修行で会得した技術のなかで最も役立っているものの一つが、刃物の研ぎです。
刃物の切れ味は美しい加工をするための要です。
毎日欠かさず研ぐことで身に沁みついた技術は精度の高い細かい木工作業を容易にしてくれました。
ほとんどの作業を手工でこなすのは、手にしている木材の声を聞き逃したくないからです。

指板のラディアスはハイフレットに向かって緩やかなRになっていくconic(円錐形)指板に加工しています。
ナット付近は16インチです。これによって弦の通り道は限りなく直線にすることが出来るので、どこのポジションでも同じニュアンス、テンションでフィンガリングできます。
機械加工では不可能な、とても手間のかかる作業ですが全てのギターに採用しています。

塗装は全ての楽器でニトロセルロースラッカーを使用しています。
柔らかいこの樹脂は薄く塗布することで弦楽器のポテンシャルを存分に引き出してくれます。
長く使うことで表板の木目が浮き立ち、あめ色になるラッカーは音質だけでなく見た目にもとても品が生まれます。