あけましておめでとうございます。
本年もご贔屓に宜しくお願い申し上げます。
さて、新年早々ですが新作が完成しました。「葵」とパーラーサイズの試作機が1本ずつです。
昨年末に完成させる予定でしたが、しっかり塗装乾燥させたいと思い、年明けにしました。
早く仕上げてどんな音がするか確かめたい、というワクワクむずむずした気持ちで年を越したのでした。
完成した「葵」の仕様は
Top:ベアクロウ・ヨーロピアン・スプルース
Side&Back:ホンジュラス・ローズウッド
Neck:アフリカン・マホガニー
Head&Rosette:カリン・バール
指板・ブリッジ:エボニー
ナット幅44.5mm スケール645mm
というものでした。
貴重な材を贅沢に盛り込んだ、ずしりと重い重量級の一本となりました。
トップのベアクロウ材がとてもすごい密度で、しっかり柾目だったので通常の厚みにすると硬くて鳴らない問題に悩みました。
私が指標にしている強度まで落とそうとするとかなり薄くなってしまうし、そうすると音の粒が細くなるだろうし、でもこのままだと綺麗な振動をしないだろうし、といった具合です。
結論は少しだけ板厚を薄く設定することにしました。ボディ端部に向かってです。(私はクラシックギター的な手法で板厚を場所によって変化させています)
硬くて重い、このベアクロウ・ヨーロピアン・スプルースの潜在能力を信じてみることにしたのです。
ブレーシングもそんなに強度を落とすことはしませんでした。
代わりにこのトップ材に合わせるサイド・バック材、ネックの強度や密度に気を配り、トップ材の振動をしっかり生かしてやるという考え方にしたのです。
結果は成功しました。
小さなボディから出ているとは思えない、厚みのある低音、それでいてバランスの整った倍音、良い音色になったと思います。
近頃の製作方針は、少しギターを重くして音色に厚みを出すというものになっています。
指板の厚みも以前は6.0mmでしたが、現在は0.5mm足して6.5mmで製作しています。
ボディの内部、ヒールブロックと呼ばれるボディのお尻に入っているブロックの大きさもかなり大きなものにしてボディとネックのバランスを取っています。
たった0.5mmで・・・と思われるかもしれませんが、指板の0.5mmはとても大きな数字なのです。
ネック全体における指板のエボニー材の重量割合は、実はとても大きなものなのです。
65kgほどの弦の張力からネックの反りを守る役割もこの指板材がとても大きく担っているほどです。
長くなるので細かい話はこれくらいにして。
最近の私の製作品がどんな音色になっているのか、是非とも感じていただきたいところですが、この完成した「葵」はもう売れてしまいました。
ドルフィンギターズさんに先日納品して店頭販売していただいたのですが、3日後に売れてしまいました。
ご購入いただいた方には感謝です。ありがとうございます!
嬉しい悲鳴ですが、なんとももどかしい気持ちもあります。
また楽器店で弾いていただける新作を作りますので、お待ちいただけるようお願い致します。
尚、ドルフィンギターズ江坂店にはまだ在庫がございますのでそちらも弾いていただけたら嬉しいです。
今年は取扱店舗が増える予定です。そちらのご報告もまたいずれ。